三重テレビ『ゲンキみえ生き活きレポート』2022年11月6日放送

3年ぶりに尾鷲節コンクールを開催する『尾鷲節保存会』のみなさん!
尾鷲節は400年以上の歴史を持つと言われ、大正14年に大阪でレコーディングされたことを契機に、全国に広まりました!
そして今年11月13日に3年ぶりとなる『全国尾鷲節コンクール』が開催!
番組ではコロナ禍で準備に携わってきて、3年ぶりの開催にこぎつけた保存会のみなさんにお話を伺うほか、3年ぶりの開催に向けて出場を目指す皆さんの練習風景をお伝えします!

尾鷲の伝統民謡、尾鷲節。
言い伝えによると、大阪夏の陣で破れた真田一族が尾鷲に落ちのび、その悲しい思いを唄ったのがはじまりと言われています。

 

400年以上の歴史を持つ尾鷲節を未来に残そうとがんばっているのが、『尾鷲節保存会』のみなさん。
尾鷲市内外40名ほどの有志で構成。
毎年尾鷲節コンクールを開催するなど、積極的に活動しています。

 

『尾鷲節保存会』会長兼『尾鷲節コンクール』実行委員長の山本哲史さんに、3年ぶりに開催するコンクールへの思いをお聞きしました。

「イベントというのは継続しているから力が備わってくるものです。
2年間の休会があったため、民謡を愛する方々とのかかわりが少し薄くなってしまいました。
それとやはりこの地域を一番代表するのは『尾鷲節』です。
その火は消したくない、大変なジレンマに陥ったんですけども、今年は尾鷲市長さんにハッパをかけられました」

 

「本当は今年35回大会ですが、その冠を取っても、たとえ30人でも40人でもやろうよと言われました。
民謡を好きな人が自分の歌を表現できる場所を提供するという形で続けていこうかと、今年やらせていただくことになりました」

 

全国から民謡ファンが集まる尾鷲節コンクール。
2022年は11月13日、尾鷲市民文化会館にて開催。
年齢に関係なく出場できる総合の部、65歳以上の方が対象の壮年の部、小学生以下が対象の少年少女の部、この3つの部門で競われ、毎年全国から100人以上の参加者が集まります。

 

尾鷲節コンクールに、地元からも多くの方が参加、現在それぞれに猛特訓をされています。
練習するのは片岡睦夫さん83歳。
今回が5回目の出場です。

 

「コンクールに出場するきっかけは、ずっと前から尾鷲節が好きで、尾鷲節を心から愛していたからです。
尾鷲節の歌は回転が速いために、その表現が大変難しい。
先生はがああ、じゃあこうやって丁寧に教えてくれるので、大変勉強になっております。
今回5回目の出場となりますが、コロナで3年ほど中断していたので、年老いてからも先生に世話になっております。
目標は、1段でも2段でも上に行けるように頑張りたいです」

と、片岡さん。
ちなみにこれまでの最高位は3位。
さらに上を目指すということですね!

 

村田純子さんは、介護職をしながらのエントリーです。

「出場のきっかけ、父が尾鷲節コンクールに出てまして、先生のところに一緒に遊びに行ったところ、『いい声してるね。やってみない?』と誘われて。
ちょうど介護の仕事もしているので、おじいちゃんおばあちゃんも喜ぶんじゃないかなと思って始めました。
3年ぶりの開催が決まったときは、緊張するというか、『また出るのか』みたいな感じで。
嬉しい反面、出たくないという気持ちも正直ありましたが、でも出るからにはみんなに応援してもらいたいです。
おじいちゃん。おばあちゃんもトロフィー持って帰るのを楽しみにしてくれていると思うので、みんなのために頑張りたいです」

と、村田さん。

 

『民謡 美楓会』会主の渡辺二三子さん。

「尾鷲節の魅力は、他の歌と違って女の歌でもあり、男の歌でもありというところです。
力強い歌う所と、『ままにになるなら、あの八鬼山を』平坦な道にして、歩かせたいというのは女心ですよね。
でも力強くちょっと歌って、という風には教えています」

尾鷲節は尾鷲の心なんですね。

 

尾鷲節の起源について、『尾鷲節保存会』名誉会長の山西敏徳さんにお聞きしました。

「尾鷲節の元歌は『なしょまま節』と言われています。
今から400年ほど前、『大坂夏の陣』の戦いに真田一族が戦いに敗れまして、紀州路に落ち延びたらしいんです。
その時にその同心の心、『なぜままならぬなぜままならぬ、ままになる身を持たせたや』と歌われたのがあの尾鷲節の、元歌になっております」

 

尾鷲市、加藤千速市長に『全国尾鷲節コンクール』に対する熱い思いをお聞きしました。

「尾鷲と尾鷲節はニアイコールなんです。
PRの根源というのは尾鷲節だと思うんですよ。
全国的に尾鷲節は浸透していますから。
『全国尾鷲節コンクール』に日本中からお越しになる人たちをどんどんどんどん集めて、交流人口を高め、集客人口を高めていきたいです。
そのためにイベントを徹底的しようという方針のもと、一番大きな話の中の一つが、『全国尾鷲節コンクール』だと思っています」

 


 
「青い海・青い空・緑豊かな里山。
さらに尾鷲には世界遺産である熊野古道も通っています。
そして何と言っても尾鷲の『食』。
尾鷲には200種類もの魚・魚種が揚がります。
みなさんに尾鷲の『食』を、ぜひとも味わっていただきたいですね。
そのために『全国尾鷲節コンクール』で、どんどん県内外からお客さんがたくさん来ていただくようPRをしていきながら盛り上げていきたいと思っています」

 

そう語る加藤市長は、なんと自らも尾鷲節コンクールにエントリー!
尾鷲の心を歌い上げます。

「尾鷲節大好き人間ですから、尾鷲節をみんなの前でご披露したいと。
だがしかし、いつも予選で落ちていますけどね。
でも、しかし出場して歌うことに意味があるんだとの思いで、今回も参加します。はい(笑)」

 

「地域の方々がもっと集まってき、各方面の方々が久しぶりの尾鷲節コンクールを聴きに行こうと動いてもらえるようにしたいですね。
来場くださった方々にはいつも、『尾鷲へ来ると、やっぱり温かいな。みんなの気持ちが嬉しいよな』という声をいただいています。
その声が途絶えないように心からのおもてなしを、第一に今考えてやらせていただいております」

と、山本会長。

 

時代と共に名前を変え、歌詞を増やしつつも地域に根ざしてきた尾鷲節。
その最大の祭典とも言える『全国尾鷲節コンクール』がいよいよ復活します。
『第35回全国尾鷲節コンクール』は11月13日開催。
入場は無料です!